竜馬がゆく全巻・感想ネタバレ

第1巻

硬派な本を読んでみたくなりググっておすすめを探していたら、日本男児たるもの一度は読めとあったのがこの本。偶然にも家に文庫が全部揃っていた。

本は硬派でも感想は軽~いスタイルでいつも通り書き捨てようと思う。

で、竜馬が最初から神格化されてて作者の心酔ぶりが何ともはや。一巻目だからまだほとんど偉人としての動きは無かったように思うが、最も記憶に残ったのが竜馬のハーレム状態だ。

土佐で二人に江戸でも二人の娘とイチャイチャ・パラダイスだった。ラノベとは格調が異なる上質を求めていたのだけど、やってることは今も昔も変わらないなぁ。

四人の娘の中では高貴な生まれの田鶴が個人的にお気に入りだ。

竜馬と結ばれてほしかったが、夜這いは失敗し京都へ左遷されるしでもう駄目か。田鶴はちょっといたずらっぽい性格が面白かっただけに残念だ。

男だけど萌えキャラだと思ったのが武市半平太。

剣道の大会で土佐藩代表として竜馬に出ろと強引に迫り、しかし自分は出場しないがその理由は聞くなという居丈高な態度が可愛かった。

その理由を察した竜馬が何も言わずに快諾した度量の大きさもなかなか。
竜馬がゆく1

 

第2巻

吉田東洋を殺っても殿様に山内容堂もいるから最終的には皆殺しにするしかないぞと竜馬が言ったら、武市半平太は「不敬だぞ!」としか言い返せなかったのが情けない。

脱藩の怖さはよくわかったから、武市プランの懸念材料への対処方法をもっと説明してほしかった。

竜馬の脱藩で親族一同に不幸が襲ったが、こういう報復をしないように武市は動かないのかね。脱藩をよしとしてなかったし、守る気はないのかなぁ。

田鶴とまさかの再会は大変喜ばしい。しかし竜馬もこれは恋だと認めつつも、結婚だとか足繁く逢いに行くだとかは全く無しなのか。

一度きりの人生なのに自身よりも日本国を最優先とは、熱い志士だな。
竜馬がゆく2

 

第3巻

動きがいっぱいあり面白い一冊だった。

勝海舟を殺る気まんまんだった千葉重太郎が普段と違いすぎて可笑しかった。あのおっとりがねぇ。

竜馬はそうはさせまいと勝海舟にジャンピング弟子入りして、重太郎を涙目にさせたのには笑った。でもそこで手を引く優しさはやはり重太郎だった。あんたはいいやつだよ。

それと、勝海舟を毒薬に見立てて、良薬ほど毒性があるという例えも面白かった。

さらには、勝海舟の護衛に攘夷派の重太郎や岡田以蔵を充てたのは驚いた。竜馬の人柄が合ってこそ、その配置がありえるんだなと感心させられた。

竜馬の脱藩の罪が放免されてホントによかったが、やはり武市半平太は動く気がなかったんだね。目指すものが微妙に、しかし決定的に違うからもはや同志じゃないのか。薄情者め。

それにしても勝海舟は竜馬に影響を与えまくりだね。この人がいなかったら竜馬は大成していなかったかもしれん。
竜馬がゆく3

 

第4巻

武市半平太が死んだかぁ。人を斬ってここまで勤王攘夷をごり押ししてきたんだから、同じように山内容堂も斬り捨てればよかったのに。今更何を恐れるか。

他、別に書くことも無いな・・・。

まぁどうでもいい話として、千葉さな子が自称許嫁を名乗った件は流石に創作がかなり入っていると思うんだけど、しっかり者の娘であるからして勘違いでそう思い込んだのではなく、もっとそう信じるに値する何かがあったのではないかね。
竜馬がゆく4

 

第5巻

裏切り者の薩摩藩許すまじ。倒幕という目標を放置し、自らが盟主になるよう長州藩を貶め、志を同じくする仲間を朝敵と見なすとは見下げ果てた賊だな。

竜馬は薩摩藩にかくまってもらっている手前、強く意見できないのもわからんでもないが、薩摩のご機嫌を伺わないといけない今の立場は情けない。
竜馬がゆく5

 

第6巻

まるで小説のように熱い展開になってきたけど、大筋でこれが史実なんだよね。幕末が未だに人気なのが頷ける。

犬猿の仲の薩長が同盟締結成るか否か、表向きはすんなりと話が進んでいただけに、薩摩側が土壇場で焦らしてきたのが面白かった。

西郷が下関に行くってのはたしかに下手に出すぎな気もするが、逆に桂が京都へ行かなければならないというのもハイリスク過ぎて心配だった。

なぜ京都にするかね。危なくて仕方がない。

竜馬が厳戒の大阪城へ大久保一翁に会いに行ったのは本当なのかw マジでありえねぇ。肝が据わっているにもほどがある。

戦艦との戦いは意外にも長州の圧勝で爽快だった。ゼロ距離射撃でフルボッコか。こうまでしても撃沈出来なかったのは不思議だが、昔の砲弾は爆発せずに砲丸が飛んでいくような感じだったのかな?

幕府が長州にかかりっきりのこの状況下で、薩摩が船で江戸へ強襲をかければ倒幕いけるんじゃないかねぇ。
竜馬がゆく6

 

第7巻

歴史的な重要語句である大政奉還は竜馬が仕掛け人だったのか。

もしこれが成れば、戦争を回避して外国につけいる隙を与えず、それと同時に政治は議会が担当するという無血革命になるわけだね。

誰も思いつかなかった打開策をあの竜馬が編み出したとは感慨深い。

しかし政治はいいとしても竜馬の商業活動はお世辞にも成功しているとはいえないね。二度目の沈没には呆れるしかなかった。

竜馬がゆく7

 

第8巻

大政奉還は成ったが、結局は鳥羽伏見の戦い・戊辰戦争へと続く内乱が起こってしまうのか。

竜馬が死んだら残るは主戦論者ばかりになってブレーキが効かないな。

結果的に無血革命にはならなかったけど、竜馬が取り入れようとした議会制度の芽は土佐藩の板垣・後藤等がその遺志を受け継いで成就させたし、やはり竜馬がやってきたことは無駄ではなかった。

竜馬以外の人物では陸奥陽之助のその後が気になる。司馬遼太郎は作中で、陸奥は史上最高の外務大臣だったと絶賛しているだけに注目せざるを得ない。

が、陸奥主役の著書を司馬は書いていないのが残念。
竜馬がゆく8

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