ルカ 楽園の囚われ人たち 感想ネタバレ

第11回電撃小説大賞(2004年)の大賞作品です。なかなかの良作だった。

最後まで読んで冒頭からの5ページを読み返してみると、二人が誰なのかが分かりそして会話の意味が分かり、ルカの優しい言葉を聴くと泣けてくる。

繭が寿命を真っ当出来たことは嬉しく思うが、ついに人類の生き残りは他にはいなかったか・・・。仮にいたとしても外部と連絡の取り用はなかっただろうなぁ。

今にして思えば繭がペルシダーに居たのもありえないことなんだし、多分神が与えた最後のチャンスとして世界にはまだ生き残りがいたように思う。

それと遭遇できるかはさらに奇跡を掴むようなものだったのかもしれないが。

前半で繭の反抗期が来たからもしや第二次性徴がごにょごにょと思ってたら案の定その話になったw

で、ヒロがあれの使い方を教えるだなんて許されんね。神が許しても僕が拒否権を発動する。ってかああいうのって何かに説明書いてあるもんなんじゃ?

繭達を監視している人はもっといい人なのかと思っていたので繭を強制保護した展開には正直驚いたしガッカリだった。でもそこはかとなく人情味のある人工知能ルカなんだよなぁ。

人類最後の1人だった時にクローン技術があるとしてどちらの道を選ぶか。クローン技術を使うのか、それともただ生涯を真っ当するだけなのか。

ルカは擬似人格三原則に従って人類滅亡の選択を取らなかったけど、地球全土が放射能に汚染された状況で地下のペルシダー内だけで人類が存続しても意味なさすぎだし、僕としては繭が普通に亡くなるのがいいと思った。

幽霊達が繭に世界の真実を伝えるべきかで苦悩したのも難しい判断だった。

いつかは教えるべきだろうけどそれが今なのかは・・・。中学生くらいの子供にそれを教えたとしてどうなるだろうねぇ。

せめて18歳くらいまではと思ってしまうが、最終的には後になって後悔しないように今から知らせることに決めたようだね。

まぁそれで繭が情緒不安定になったとしても、そんな時だからこそ幽霊達が家族として支えるべきなんだろうなぁ。

ヒロが地上探索に向かう時の繭達の談笑は暗かったラストに華を添えていたね。繭の「(ヒロは)初めての人だもの」発言には全世界が動揺した。キスだけじゃなく・・・まさか・・。

っとまぁ、人工知能の暴走と人類滅亡という二大テーマがひとつに凝縮されたこのラノベは大賞に相応しく面白かった。

幽霊達は繭の成長を最期まで見届けることなく消えてしまったのが残念ではあるけど、ルカが言っていたように、繭を最期の1人にはしないでおけたのが唯一の救いだったかなと思う。

ルカも400年間お疲れ様だったな。
ルカ 楽園の囚われ人たち

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